美弥は一人で部屋に残された。
とはいえ、家の中に人がいるだけで何となく安心する。
これなら心置きなく眠れそうだと思ったが、微妙に目が冴えいてなかなか寝付けない。
……よく考えたら、夕方六時に誘拐されて朝四時に起こされて、もう一回気絶して結局六時に起きたのか。
そりゃ睡眠リズムもめちゃくちゃだ。
美弥は仕方なく、スマホに手を伸ばした。
スマホは頭痛の天敵だが、眠くなるまで適当に暇を潰しておこう。
しばらくネットサーフィンで意味のない時間を過ごしていると、美弥はだんだん眠くなってきた。
時計を見ると、もう八時を過ぎている。
今頃みんな、学校行ってるんだよな……。
ふと咲子のことを思い出した。
熱に浮かされて気が回っていなかったが、連絡しないと。
きっとあの子は心配する。
美弥はメッセージアプリを起動させ、『風邪ひいたから休むね』と送る。
それが済むと、美弥は布団をかぶった。
拉致、殺人未遂、発熱と続いたせいか、どっと疲れが押し寄せてくる。
目を閉じると、美弥は五分も経たず眠りに落ちた。

