美弥は驚いて与崎を見る。
目が合うと、与崎は気まずそうに視線を外す。
そして蚊の鳴くような小さな声で呟いた。
「これで満足か?」
与崎の顔は、美弥よりも熱があるのではないかと疑うくらい真っ赤だ。
さすが、これでこそ与崎。
美弥は声を出さずに笑った。
ピピピッと体温計が鳴り、与崎は体温計を美弥の口から勝手に抜き取る。
表示された数字を見て、与崎は深刻そうに目を細めた。
「38.2℃。普通に高いな」
与崎は美弥に視線を戻し、「まあ、冷えたんだろうな」と安心させるように言う。
「とりあえず今日はもう寝てろ。学校には連絡したんだろ?」
「……一応、メールで」
「よし。じゃ、なんかあったら呼べよ」
与崎は立ち上がり、「遠慮するんじゃねえぞ」と念を押してから部屋を出ていった。
独りにしないことを強調しておきながら、割とあっさりしている。
気が利かないなあ、と思ったが、よくよく考えるとそれはお互い様だ。
それに、変にキザな態度をとられるよりは素直で好感が持てる……気がする。
目が合うと、与崎は気まずそうに視線を外す。
そして蚊の鳴くような小さな声で呟いた。
「これで満足か?」
与崎の顔は、美弥よりも熱があるのではないかと疑うくらい真っ赤だ。
さすが、これでこそ与崎。
美弥は声を出さずに笑った。
ピピピッと体温計が鳴り、与崎は体温計を美弥の口から勝手に抜き取る。
表示された数字を見て、与崎は深刻そうに目を細めた。
「38.2℃。普通に高いな」
与崎は美弥に視線を戻し、「まあ、冷えたんだろうな」と安心させるように言う。
「とりあえず今日はもう寝てろ。学校には連絡したんだろ?」
「……一応、メールで」
「よし。じゃ、なんかあったら呼べよ」
与崎は立ち上がり、「遠慮するんじゃねえぞ」と念を押してから部屋を出ていった。
独りにしないことを強調しておきながら、割とあっさりしている。
気が利かないなあ、と思ったが、よくよく考えるとそれはお互い様だ。
それに、変にキザな態度をとられるよりは素直で好感が持てる……気がする。

