落ちこぼれ悪魔の扱い方

美弥の冷えた手を包み込む硬く骨張った手は、ホッとするような温かさだった。

なんか意外。


「おーい、行くぞ。美弥?」

「……うん」

美弥は静かに与崎のぬくもりに浸っていて、返事をするのが少し遅れた。

それを嫌がっていると誤解したのか、与崎は申し訳なさそうな表情でそっと美弥の手を離す。


「ごめん、急に触って」

あまりに気落ちした声をしていたので、美弥は慌てて「嫌じゃないから!」と否定する。

「むしろ、独りじゃ足元がおぼつかないから……エスコートお願いします」

与崎は「エスコート……」と口の中で転がすように呟き、フッと笑った。


「任せてくれよ。お嬢ちゃん」

「その喋り方、久しぶりだね」

美弥は満面の笑みを浮かべ、与崎の手をぎゅっと握る。

与崎も、照れたような曖昧な笑顔を返してくれた。