落ちこぼれ悪魔の扱い方

「おっと」

美弥は足がもつれ、隣の与崎に寄りかかる。

与崎は驚いて一瞬身をすくめたが、すぐに美弥の肩を支えてくれた。


「ほら、そんなんじゃ無理だろ。疲れてるだろうし、今日は休め」

「ん? 全然大丈夫だって」

そう言ってはいるが、ちょっと体が火照ってきたかもしれない。


でもまあ多分いけるし、ダメそうならまた保健室に頼ろう。

三回連続は、さすがに呆れられるかな。


「お前、なんか熱くね?」

与崎は手袋を外し、ちょっと躊躇しながら美弥の額に手を当てる。

与崎の濡れた手は、ひんやりしていて少し心地良かった。


「多分熱あるぞ」

与崎は険しい顔をして言う。

「そっか。じゃあ解熱剤飲んで学校行こう」

「馬鹿か!」

一喝され、美弥は口を尖らせた。

「いいじゃん。ヤバそうだったら帰って来るから」

「現時点でもうヤバいんだよ、いい加減諦めろって」

与崎は苛々しているのか、強い口調でたしなめてくる。

切れ長の目もきゅっとつり上がっていた。


「つうか、なんでそんなに学校に固執すんの? 留年しそうなのか?」

「そういうわけじゃ……」

「じゃ、皆勤狙いか?」

「それも違う」