落ちこぼれ悪魔の扱い方

「言ったけど、それって魔界……だったっけ、悪魔がいるところにも届くの?」

「いや俺、まだ帰ってなかったし」

「え、そうだったの? なんで?」

不思議に思って尋ねる。

与崎はそんな美弥を面白がるように、にんまりと口元を綻ばせた。

「布」

「え?」

「黒い布。お前忘れてたよな」

美弥は硬直した。


そうだ、布が必要だったんだ。

鏡に気を取られて失念していた。


「お前、意外と忘れっぽいんだな」

与崎にからかわれ、美弥はムッとしつつも黙り込む。

トリアタマなのは本当のことなので言い返すことができない。


「だから全身鏡から、美弥を拉致した車のサイドミラーまで移動したわけだ。もちろんサイドミラーは通るのに小さすぎて、弾けたけどな」

「あの時の破裂音みたいなのはそういうことだったんだね」

三人のアホ面が目に浮かび、美弥はくすっと小さく笑った。


「女の人と鉢合わせしなかった?」

「した。でも、俺見たらすぐにビビって騒ぎだしたから放っておいた」

「おー、ナイス判断」