落ちこぼれ悪魔の扱い方

「覚えてなかったら、いつかの時みたいに暴走してるよ。『誰だ、この心臓と間違えて胃をマッサージしてる男は!?』なんて叫んだりしてね」

「あれは心臓マッサージじゃねえよ! 水を吐き出させようとしただけ!」

与崎はムキになって弁解する。

良かった、いつものノリだ。


安堵したのも束の間、与崎はすぐに真剣な表情へと戻った。

「それよりお前、どこまで覚えてんの?」

美弥は必死に記憶の糸を手繰る。

与崎は考え込む美弥を見て何か誤解したのか、「思い出したくなきゃ言わなくてもいいんだけど」と慌てて付け足した。


「全然大丈夫。……えーっと、崖から落ちるところまでかな。結構覚えてるよ」

「なるほど。じゃ、変に記憶飛んだりはしてないわけだな」

「うん。それで? どうしてこんなことになってるの?」

美弥が尋ねると、与崎は美弥の背後にある海を指差した。

「お前あの後、海に落ちたんだよ」


与崎が指差す方向には、確かに崖も存在していた。

美弥は波打ち際から少し遠い、沖に出た辺りで海に放り込まれたらしい。