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真っ暗で何も見えない。
音も聞こえない。
今は一体、どういう状態なんだろう。
痰が絡んだような感覚がする。
咳をしようとしたが、肺が小さくゴポッと鳴っただけだった。
何だこれ、喘息?
喘息になったことはないけど、急に発症することもあるみたいだし……。
次の瞬間、美弥は猛烈な吐き気に襲われた。
突然のことに、美弥は目をかっと開く。
眩しい光が一気に網膜へと飛び込んできて、美弥は目をしばたたかせた。
「美弥!? 起きたのか!?」
真っ黒な双眸と目が合った。
ワイシャツを着た色白な青年が、何故か美弥を見下ろしている。見覚えのない顔だ。
美弥は気持ち悪さに耐えながらも、視線を横たわったままの自分の体へ向けた。
おそらく青年のものであろう、ぶかぶかのスーツの上着を着せられている。
まあそれは別にどうでもいい。
問題は、腹部に青年の右手が沈んでいることだった。
その手は美弥の胃の辺りを、ぐっと押さえつけている。
……この吐き気、原因お前か。
男がもう一度、ぐぐっと美弥の胃を押す。
やめろと言おうとしたが、出てきたのは言葉ではなく吐瀉物だった。
「うぷっ、おえぇ」

