落ちこぼれ悪魔の扱い方

美弥の胸に自信がみなぎってきた。

火事場の馬鹿力、というより火事場の空元気といった感じだが、美弥はいつになく前向きな気分だった。


生き延びてやる。こんな教団、私の手で潰してやる!


美弥が決意を込めて支柱を握り直した時、遠くの方から「パンッ」と何かが弾ける音がした。


三人は美弥への暴行を止めて、音のした方を振り返る。


「……車の方からじゃないか?」

安藤が青い顔をして言うと、女が「私、見てきます」と車の方へすっ飛んでいった。

しばらく唖然としていた二人だったが、我に返ったのか、大柄な男蹴りを再開する。遅れて安藤も。

集中的に指先を狙われ、美弥は思わず左手を離してしまった。

残った右手に、大柄な男と安藤が二人がかりで蹴りを放つ。


離さない。こっちの手は、絶対に。


「畜生!」

安藤は獣のように叫び、ポケットからサバイバルナイフを取り出した。

「どうしても離さねえんなら、これで指をぶった切るぞ!」


さすがにそれはどうしようもない。

そんなことをされたら、今度こそ本当に海へまっ逆さまだ。


焦りのあまり、美弥の額を何筋も冷や汗が伝う。