「リスクってのは、できるだけ小さくすべきものなんだ」
大柄な男の発言が美弥に向けられたものだということを、理解するのには少し時間がかかった。
「情報漏洩のリスクは減らせる。前原だけでなくその娘も黙らせておけば、こちらの情報が流出する可能性はぐっと減少する。
……それに比べて、こちらが負うリスクはそう変わらない。一人殺すのも二人殺すのも、こっちからすれば大差はないってことだ」
大柄な男のご高説に、二人の狂信者もうんうんと頷いている。
大馬鹿三人組め。
三人寄れば文殊の知恵とはよく言うが、こいつらみたいな大馬鹿が三人寄ったところで、できるのは無実の女子高生を拉致するくらいのものなのか。
馬鹿っていうか、イカれてる。
美弥は最大級の怨念を込め、バックミラー越しに男を睨む。
「それって、真名川の指示ですか」
「先生は何もおっしゃらないわ」
女が素早く口を挟んだ。
「でも、きっと賛同してくださるはずよ。何せあなたのお父さんに直接手を下したのは、先生ご自身なんですから」
鼻にかかった声で女は言う。
男に「喋りすぎだ」と諌められても、特に気にしていないようだ。

