落ちこぼれ悪魔の扱い方

対峙していた大柄な男が、重々しく口を開く。

「お前、前原美弥だな」

ダメでもともとだが、美弥は演技してみる。

「誰ですか、それ? 人違いじゃないですか?」

「とぼけても無駄だ。調べはついている。他人の空似ではないくらい、こっちにも明らかだ」

どこからバレたんだろう。

スマホかな。多分盗まれてるし。


そこまで考え、美弥は財布の存在に思い当たった。

そういえば、財布もポケットに入れていた。


さっき調べたら、ポケットは空だった。

財布も向こうの手に渡っている。

財布には学生証が入っているので、そこからバレたようだ。


鞄に入れておけばよかったと、美弥は激しく後悔した。

鞄も道端に置き去りにしていて現在行方不明だが、まだ紛失した方がマシだった。


三人は相変わらずロボットのように無表情で、美弥を見下ろしている。

大柄な男が顎をしゃくると、若い二人が美弥の両脇に立つ。

二人はそれぞれ美弥の腕を掴み、美弥を引きずるようにして立ち上がらせた。


腹部がまた痛んだが、美弥は黙っていた。申告したところで、配慮などしてもらえないだろう。