落ちこぼれ悪魔の扱い方

「あの、いきなりなんですか」

美弥は抗議し、男を睨む。

男は感情の読めない瞳で、暗く美弥を見下ろしている。

その耳に付いている真珠のピアスを見た時、美弥はサーッと血の気が引くのを感じた。

『真珠の環』の、信者だ。


しばらくお互いに見つめ合っていたが、男が先に口を開いた。

「お前は前原……」

男が言い終わるより早く美弥は立ち上がり、ダメ元で男を突き飛ばす。

男はビクともしない。もちろんよろめいたりも。

……時間稼ぎにもならなかった。

踵を返して逃げようとした時、腹部に強い衝撃が走った。

「ごはっ」という不細工な声を吐き出し、美弥は地べたに転げる。

内臓が突き上げられるような痛み。

腹を殴られたのだと、すぐに理解した。


これ、結構ヤバいのでは?


頭では分かっていても、痛すぎてどうにもできない。

とりあえず警察。殴られた箇所を右手で庇い、左手でスマホを取り出そうとポケットに手を伸ばす。


しかし、遅かった。

スマホに手が触れた瞬間、今度は後頭部に衝撃が走る。

視界が一回転し、すぐに暗転した。