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それからの二日間、与崎は一切部屋から出てこなかった。
食事は必要ないと言っていたが、やっぱり風呂とトイレも必要なかったらしい。
美弥も声をかけたりはしない。
変に顔を合わせても気まずいし、むしろ引きこもっていてくれた方が都合がいいとすら思っていた。
そういうわけで与崎のことは放っておいたのだが、美弥にはまた別の悩みが増えた。
父のことだ。
与崎との口論の後、父のことはまた大方忘れた。
しかし完全に封印することはできなかったようで、ふとした拍子に父の幻影が見えることがある。
朝食をとっている時に父の茶碗が視界の隅に見えたり、父の「ただいま」という声が聞こえたり。
その度に憂鬱な気分になる。
与崎のせいだ、と何度も自分勝手に恨もうとしたが、どうしてもそんな気分にはなれなかった。
与崎が押し殺したような声で浴びせてきた言葉が、まだ美弥の刺さっているから。
胸の内は罪悪感でいっぱいなのに、与崎は謝らせてもくれなかった。
これは罰なのだ。ずっと与崎を騙していた、美弥への罰。
……もう与崎とは終わりだろう。
美弥は確信していた。
復讐に関しては諦めるつもりはないので、別の悪魔を呼ばなければならない。
が、鏡が届くまでは何もできない。
美弥は家事をやりつつ勉強や遊びで暇を潰すという普段通りの生活をしながら、鏡の到着を一日千秋の思いで待った。

