落ちこぼれ悪魔の扱い方


大声を出すのが久しぶりだからか、後半は蚊の鳴くような掠れた声になってしまう。

与崎が目に入らないように、美弥は三日月形に腫れた自分の手首だけを見つめた。


「……何だよそれ」

与崎の怒気をはらんだ声に、美弥は顔を上げる。

「お前、父親のこと覚えてなかったのか?」


……しまった。ぼろが出た。


美弥は一瞬焦った。が、すぐに平静を取り戻す。

「そうだよ。親父のために復讐したいとか、そんなの最初から嘘だよ」

美弥は明かした。もう何のためらいもない。

完全に開き直っていた。


「自分が一番大事に決まってるじゃん」

与崎に向けて、余裕たっぷりに笑いかける。

与崎は時間が止まったように固まっていた。


与崎が黙っているのをいいことに、美弥の言葉はヒートアップした。

「親父のためとか綺麗事言ってたのは申し訳ないと思ってるよ? でも、与崎が私のこと舐めてたのもいけないよね。

私に復讐なんて無理とか、やめた方がいいとか、私のこと信じる気なんかハナからなかったじゃん。

私たちは所詮契約関係なんだから、私のその後なんて気にする必要……」

与崎の体が小刻みに震えていることに気付き、美弥の言葉が途切れる。