落ちこぼれ悪魔の扱い方

「後悔するぞ」

「しないね」

美弥は冷たく笑った。

自分は今、限りなく人間味を排除した、彫刻のような笑みを浮かべていることだろう。


取材の時の親父のように。

「親父はすごく身勝手な奴でね、いっつも自分の好奇心が最優先。いつまで大航海時代やってんのって感じなのに、私には変に厳しかった。

夕方遅くまで出掛けんなとか、見かけばっかり気にして中身がなってないとか。

お節介焼きな性格のせいで近所でも疎まれてたし、最終的におかしな宗教団体に喧嘩売って殺されてるし。

私が殺されかけたのもあいつのせい。全部全部、あいつが悪い」

与崎に口を挟む間も与えず、美弥は支離滅裂に話し続けた。

「おふくろはともかく、私を置いてった親父のことなんか大っ嫌いだし、今でも恨んでる。……思い出したくもないくらい!」

最後の方はほぼ絶叫だった。


崩れる間際のように笑顔が歪むのを感じる。

気が付けば、手首に爪を立てていた。

「だから、親父のことは忘れられてラッキーだって思ってた。死んだ人間のことなんて、考えれば考えるほど惨めになるだけだから」