だがその写真には、遺影とは違って自然さがあった。
親戚の誰かがこっそり撮ったのか、写ることを意識していない父の表情は不機嫌そうにも嬉しそうにも見えた。
生前の生活を、想起させるような表情。
「これ、家族写真だよな」
与崎は美弥の後ろから写真を覗きこみ、声をかけてくる。
「お前の顔って、父親似なんだな」
『君は、お父さん似だったんだね』
与崎にそう言われた瞬間、昔誰かに言われた言葉も思い出した。
誰に言われたんだっけ、と思い出そうとして、一秒も経たずに美弥は後悔した。
遺体安置所で、警察に、言われたんだ。
それが引き金になったのか、鮮やかに美弥の脳内に三年前の光景が流れ込んできた。
遺体安置所の泥のような空気に包まれているような錯覚に囚われ、頭を締め付けるような痛みが襲う。
「美弥? どうした?」
「……こ、これは」
これはまずい、と言い終わる前に、喉の奥で気泡のはじけるような音がした。
近寄ってくる与崎を突き飛ばし、吐き気止めを取りに自分の部屋へ向か……おうとしたのだが、視界が歪曲しているせいでまともに歩けない。
世界そのものがぐちゃぐちゃになっているような目まいに耐えきれず、美弥はその場にうずくまる。

