叶えたい願いがある。


命を脅かされない、平穏な生活を送ること。

普通の子だと、周囲に思ってもらえること。


周りの人はわざわざ願ったりしないような、取るに足らない願いだ。


しかし美弥には、そのどちらも与えられていない。

いや、奪われたといった方が正確だろう。あの日から。



……上手くやっているつもりだった。

表情を取り繕い、人に弱みを見せず、『普通の子』らしく気丈に振る舞う。

自分を陥れた人間に復讐し、平穏な生活を手に入れるため、人智を超えたものに頼る。


事態は、好転しているはずだった。



……それなのに、どうして。