「どこからの出血だ」
すみれは聴診器を外して、
細い指を使って打診を始めた。
「わからないけど、たぶん上から」
「食道か」
「だといいけど」
すみれの言い方からして、
大血管からの出血の可能性も
否めないということだろう。
壁に取り付けられたモニターの値も、
アラームがこれだけ鳴り響くほどには、
良くなかった。
「アドレナリンいくぞ」
「頼む。薬は任せる」
「あぁ」
雅俊は看護師が持ってきた
救急カートから必要なものをかき集めた。
心拍がどんどん落ちていく。
「ボスミン0.1mg静注。
誰か記録しろ」
「あ、はい!」
隣にいた看護師が返事をして、
ホワイトボードを取りに走った。
すみれは小さな赤ん坊から体を離し、
そのままその場で静止した。
「どうした」
「…原因が、わからない」



