雅俊は「フッ」と小さく笑って、 すみれが立ち上がるのを支えた。 「一人で歩けるか」 「うん」 その直後、 とんでもなく大きな咳とくしゃみが、 雅俊に向かって飛んできた。 「…ぁ、失敬」 「…帰って寝ろ」 雅俊は目を閉じたままそう言って、 受付横にある洗面台に向かった。 その時、当直ピッチの着信音が、 静かな受付に響き渡った。 もちろん、毎度の通り。 すみれのポケットに入っていたピッチだ。