案の定というべきか。
戻ってきたすみれは、
咳のし過ぎでか、目が潤み、
見えている耳や顔は赤らんでいた。
白い肌がその異常な様子を
余計際立たせている。
細い腕でガウンを受け取り、
もう一度大きな咳をする。
その今にも倒れそうな様子に、
梶木が隣で手袋をつけながら言った。
「大丈夫か?
しんどいなら降りててもいいぞ」
降りる、とは、
手を降ろして
手術に入らないことを意味する。
梶木教授の言葉に何も答えず、
すみれはガウンを着て手袋をつけた。
やらないという選択肢が、
すみれにあるはずがない。
雅俊は黙ってその様子を
離れたところから見ていた。



