パーフェクト・フィグ




「昨日見かけたとき、
 めっちゃ咳してたんですよ」

「どこで見かけたんだ」

「急患のときです。
 昨日大人心臓の解離来て、
 ヘルプですみれ先生が入ってたんですよ」

「昨日の解離もひどかったよな~」


増山が言った。


「朝4時までかかったからな。
 瀧本教授が下っ端にやらせるわ、
 裂けて全然止血できないわで。

 たしかにすみれちゃん、
 めっちゃ体調悪そうだったな」

「でしたよね!?
 すみれちゃん、ふらふらでしたよね」


なぜ松島までもが
"すみれちゃん"なのかはさておき、
雅俊は数日前に最後に
すみれと会ったときのことを思い出した。

十分元気に見えたし、
食欲もよかった。

体調を崩したのは、
そのすぐ後なのだろう。


「どうしてあいつが、
 大人心臓のヘルプなんだ?」

「おっと、あいつ呼びですか」


松島がヒュッと口笛を吹く。


「…何だ」

「いえいえ」


また冷静な態度に戻って言った。