雅俊は誤魔化すように、
キャベツとピーマン、
豚肉を混ぜ合わせた。
それからネットの記事で得た情報を、
脳裏に映るが如く読み上げた。
「いちじくは、名前の通り
花の無い果実だが、
実際は花が無いわけじゃない。
見えないだけだ。
だから、実が実れば
その花を見ることはできるし、
それが楽しみにもなる。
家で育てるのが難しい分、
育て甲斐もあるし、
つまらないなんてことは…」
そこまで言って、ふと顔を上げた。
気づけばすみれが
カウンター越しに寄ってきていた。
途端に気まずくなるも、
すみれは色素の薄い目を輝かせ、
物珍しそうに雅俊を見上げていた。
「…なんだ」
「それ、私を慰めてるの?」
「ネットにそう書いてあっただけだ」
「優しい」
「…そんなことはない」
最後に市販のタレを混ぜ合わせて、
フライパンの上では
回鍋肉が完成していた。
だが、すみれの視線に
居心地が悪いあまり、
雅俊は妙に動きづらかった。



