雅俊が手術室に行くのは、基本週2日だ。
つまりそのどちらも小児心臓という
麻酔の難しい手術につけられている。
「たまにはヘルニアにつきたいって?」
すみれが窓際の植物に
興味津々になりながら言った。
「そうは言ってない」
毎回小児心臓は…、なんて、
執刀している本人に言えるわけがない。
ましてや「見ててやる」なんて
偉そうなことを言ってしまった手前、
すみれについてく義務が
自分にはある気がした。
「やりがいがあっていいでしょ?
フリーランスなのに
給料泥棒みたいなことしてたら
目つけられるよ」
「やっぱりお前の仕業か」
「ふふん」
すみれの鼻が葉っぱに触れるほどに
近づいていても、
雅俊はもう気にならなくなった。
雅俊はキャベツを洗いつつ、
その背中を見て言った。
「…しんどくないのか?」
「…」
「もう慣れた、か」
「…うん」
雅俊はキャベツを包丁で切ってから、
フライパンに油をのせてIHの電源を入れた。



