もう一度起こそうとしたところで、
どこかの部屋から物音が聞こえた。
誰かが出てくる。
そこでこの状況を見られては、
越してきて早々印象が悪い。
かと言ってこのまま消えるわけにも…
瞬時に様々な可能性を考慮したところで、
雅俊は自分にとっては一番最悪な結論を得た。
ちっ…と小さく舌打ちをして、
その女の両脇に手を伸ばした。
それから無理矢理抱きかかえると、
想像以上の軽さに驚いた。
まだ子供かと思わず焦ったが、
背丈もあるし、それはなさそうだった。
さすがに、20代ぐらい…か?
「おい、歩けるか」
虚しく独り言を呟いて、
雅俊は女を一先ず玄関に入れた。



