それ以上すみれに何を言うこともなく、 梶木は松島に向き直った。 「抜管は私の見守りの下ということでいいでしょう。 先生、抜管してください」 「…はい」 松島は小さく答えた。 梶木がドアの前を退いたところで、 すみれは振り返ることなくオペ室を出た。 全身の力が抜けて、 何もかもがどうでもよくなった。 「せんせ…」 肩に手を伸ばす看護師の手を振りほどく。 今にも膝から崩れ落ちそうにふらついて、 ただ目の前を歩き続けた。 アラーム音がけたたましく鳴り響き、 やがて聞こえなくなった。