パーフェクト・フィグ




だが、梶木はそんなすみれを見て続けた。


「君の考えていることはわかる。
 その藤原先生なら、
 君の指示に従うと考えているんだろう」

「…」


すべてを読まれ、
すみれは言葉を返せなかった。


「この子がハートセンターに戻るまで、
 君は医局室で待機。
 他にも状態が悪い子がいる。
 急変に備えて休んでいなさい」


言い返そうと口を開きかけたところで、
梶木は更に詰め寄って言った。


「これは教授命令だ。逆らえば…」

「逆らえば?」


すみれは敵を見る目で梶木を睨んだ。
そして冷徹な声で続けた。


「クビ?そんなの怖くない。
 それに私なしで、一人でオペをしていくと?」

「クビにはしない」


梶木は目の前のすみれに問いかけた。


「君こそ、ここ以外のどこでオペができる?」

「…」


いつもと同じ、感情の無い
柔らかい声色に戻っていた。


「大阪の二の舞になりたくないだろ」

「ッ…!」