猫毛のような赤毛混じりの茶髪、
よくわからないがふわふわしたパーカー、
スカートなのかズボンなのか不明なワイドパンツ。
雪のように白いその肌に、
随分と季節外れな厚着をしたその女性は、
酔っているのか、気分が悪いのか
千鳥足のような、子供のような動きで
エレベーターに乗り込んでいった。
雅俊は職業柄、妙な動きをする人間には
過敏に反応してしまう癖がある。
だが、歩けている時点で問題ないだろう。
そう確信して、気にするのをやめた。
荷物はあと1つ。
明日、諸々の配達が来る前に
部屋を片付けておかなくてはならない。
今日は徹夜だな…
物は特別多い方ではないが、
やはり引っ越し作業は面倒くさい。
雅俊はため息をついてから
最後の1つを抱えて車のドアを閉めた。



