すみれがクスッと笑みを溢した。
「私は好きだよ」
君は?と口だけを動かす。
その問いに派手に答えたのは、
2人のピッチだった。
「はい、藤原です」
雅俊が電話に出る横で、
すみれも似たような相槌を打っている。
恐らくは同様の内容だろう。
「はい、すぐ行きます」
雅俊が電話を切ると、先に切っていたすみれが
面白そうに口角を上げた。
「隣県からドクヘリ」
「ロスクした児童の搬送」
「緊急オペに備えろ」
「…行くか」
雅俊が言うと、すみれは「おう」と言って
リビングを出ようとした。
雅俊はそんな後ろ姿を見て、
椅子にかけていたジャケットを羽織りつつ、
ふと言葉が出ていた。
「…好きじゃなかったら、一緒にいると思うか?」



