「…」
「…」
かつてそう目をつけた医者が、
今では隣でいちじくの葉を
まじまじと見つめている。
そんな愛おしそうに見つめちゃって…
なんて言うと、この男はまた怒るだろう。
「…難しい?育てるの」
「あぁ。買ってきた方が美味いしな」
「嫌になった?」
「いや」
雅俊の視線が、
いちじくからパーフェクト・フィグへ移る。
「手間がかかるほど、いい」
「だから君は、私のことが好きなんだよね?」
「…」
「…」
「"なに言ってんだ、お前"」
すみれが雅俊のいつもの口癖を真似ると、
やっぱり言葉が重なった。



