後ろを歩いていた人々が、 次々と二人の脇を過ぎていく。 すみれは大きな瞳を更に広げて、 通りの向こうを見つめていた。 突然刺されたかのような、 そんな衝撃を受けた顔だ。 「…どうした」 そう言って視線の先を追う。 信号を越えた通りの向こう側。 サングラスをつけた少女が、 点字ブロックに杖を這わせて歩いている。 隣に並ぶ友人と楽しそうに話しているのが、 ここからでもはっきりと見えた。 「…」 雅俊はもう一度すみれを見た。 見開かれたその目が、 ビー玉のように綺麗に潤んでいた。