通話終了の音が鳴った。
すみれは、床と自分の間にいる雅俊を見下ろしていた。
テーブルとソファの隙間で、
気づけば雅俊の上に馬乗りしていた。
スマホが遠くに転がっている。
女子が上に乗っているというのに、
雅俊の顔色は一つも変わっていない。
すみれはその端整な顔立ちを見下ろして言った。
「キス、してあげよっか」
「は?」
そう言う雅俊の表情も変わらない。
「ハンバーグのお礼」
「…」
「あ、この前の熱い抱擁のお返しでもいいよ」
「随分と余裕だな。
あんなに泣きじゃくっておいて」
「…今日、なんで行かなかったの?」
「…」
「…」
長い沈黙に感じた。



