パーフェクト・フィグ




ローテーブルの上に積んでいた
麻酔の参考書を読んでいる。

雅俊はそんなすみれの背中を見つつ、
カットしたすいかを持ってテーブルに置いた。

食後のデザートにしてはいささか重く、
旬も過ぎていたが、まだまだ赤くて甘そうだ。

雅俊がソファを背に、カーペットの上に座ると、
すみれも参考書を置いてソファから降りてきた。


「ありがと」

「あぁ」


フォークを片手に、すいかを頬張っては
どこか幸せそうな顔をする。

子どもか…

と思わず突っ込みそうになるが、
もう何度も言ってきた言葉なので
すいかと一緒に飲み込んだ。

その時、静かな部屋にバイブ音が響いた。

珍しくもすみれのピッチではなく、
雅俊のスマホだった。


「…」


表示された名前を見て、
そっとスマホの画面を下に向ける。

すると、すみれが何も言わずに
雅俊の持っていたフォークを取り上げた。


「はぁー…」


雅俊はため息をついてから一つ咳払いをして、
仕方なくスマホを手に取った。