自分よりやや背の高い彼女を見上げる。
その視線に怯みを見せるも、
持っていたファイルを抱きしめて、
看護師はポツリと呟いた。
「…すみませんでした」
その謝罪が何に対してのものなのか、
すみれにはわからなかった。
年?世代?職種?
いや、違う。
もっと根本的なものが違う。
感覚だ。
そう思った。
「この数週間、何してた?」
「え…?」
周囲の視線は気にせず、
すみれは、看護師が抱えていた
夢乃のファイルを指で突いた。
「この子は、一生懸命生きた。
一生懸命自分で呼吸して、
心臓を動かしてた…」
看護師の耳が、赤く染まる。
「あなたも、一生懸命生きなさい。
この子たちみたいに」
横を通り過ぎてセンターを出るタイミングで、
「はい…」
と小さな返事が聞こえた。



