職員用のエレベーター奥にある階段に出て、
2の文字が見えるまで無我夢中で駆け下りた。
ハートセンターの扉横に職員証をかざし、
自動ドアがじれったい程にゆっくりと開く。
すみれが少しの隙間を通り抜けて、
中に入ると、センター内は静寂に包まれていた。
2日前、自分が救おうとしたその場所に、
白衣にまみれた人だかりができていた。
いつもなら聞こえるアラーム音は
聞こえなかった。
モニターの電源が、切られていた。
すみれはゆっくりとその場所に近づいた。
すみれに気づいた医師と看護師が、
戸惑いつつも道を開けた。
ベッドの上にはもちろん、
ずっとここにいた、夢乃の姿があった。
小さな小さな、手。
その手を包み込む、
夢乃の母親と、父親の姿があった。
深い悲しみのあまりか、
叫ぶことも、怒ることもなく、
ただ静かに、涙を流していた。
「たった今、死亡確認をしました」
後ろに来ていた高橋が言った。
今年二度目。
救えなかった、命だった。



