学園最強の兄は妹を溺愛する

「よーし。そんじゃ結果発表の続きするぞー」

 お兄様ののんびりとした声が再びグラウンドに響き、それが平和の訪れをわたしに実感させてくれた。


「蒼真さん!」

「っ……どうした、彩智」


 運営本部の放送担当の方に、勝手にマイクを使用したことを謝罪してその場を離れると、わたしは蒼真さんに飛びつき、蒼真さんの体操服の背中のところをぎゅっと握り締めた。


「ご無事で、本当によかった……」

「陽介に『そっちは任せた』と言われたからな。いつも自ら動かないと気が済まないヤツが、俺にはじめて任せてくれたんだ。やり遂げずには戻れんだろう」

 そっと蒼真さんの顔を見上げると、なんだか口元に笑みを浮かべているようだった。


「それに、彩智の声も聞こえた。絶対に負けないと信じていると。彩智にそう言われたら、負けられるわけがない」

 ふわりと蒼真さんの大きな手のひらがわたしの頭の上に乗り、そっと優しくなでてくれる。


「心配かけて、すまなかった」

 わたしは思わず顔を蒼真さんの胸に埋めた。


 よかった……ご無事で本当によかった。