学園最強の兄は妹を溺愛する

 昔、わたしを守ろうとして、ボロボロになっていったお兄様の姿が頭の中をよぎり、ぎゅっと目を閉じる。


 もしも蒼真さんがあんなことになってしまったら……。

 もしも蒼真さんがお母様のようにわたしの前から突然いなくなってしまったら……。


 恐ろしい想像をしてしまい、呼吸がだんだん苦しくなってくる。


 ……ううん、蒼真さんは強いんだもの。きっと大丈夫。

 それに、今わたしが蒼真さんのところへ行ったとしても、ただの足手まといにしかならない。

 邪魔をするくらいなら、そばにはいない方がいい。


 必死に呼吸を整えると、わたしは目を開け、お兄様を見た。


「わかりました。わたしは、自分の席にいればいいのですね?」

「ああ。蒼真のことが心配な気持ちもわかるが、アイツは強いよ。俺が保証する」

「はい」


 そのままわたしは、お兄様と一緒にグラウンドへと戻った。


 すでに三年生のリレーまで終了し、あとは結果発表と閉会式を残すのみとなっていた。


 わたしにできるのは、自分の席にいて、蒼真さんたちの無事を祈ることだけ。


 ……本当に、それだけなの?