学園最強の兄は妹を溺愛する

「元々のトラブル自体も、向こうから仕掛けてきたものだったらしいんだが。……そうか。こっちが本当の狙いだった可能性も考えられるな」

 お兄様が、顎に手を当て、考え込む。

「学外の人間の出入りが自由となるイベント時を狙って、『報復』という口実で、学園に乗り込む。……こんだけ考える頭があるなら、頼むからもっと他のことに使ってくれ」

 愚痴るかのようにそうつぶやくと、お兄様は大きなため息を吐いた。


「グラウンドの方でも、アイツらの仲間を確認済みだ。裏で騒ぎが起こった瞬間、おそらくグラウンド側からも仕掛けてくるつもりだろう。つまり、裏をキッチリ押さえれば、俺たちの勝ちだ。俺は、万が一に備えて、グラウンドの方を見張る。彩智は莉乃と一緒にいるんだ。二人のことは、金沢に任せてある。なにがあっても二人を守り切れってな」

「わたしにも……なにかできることはないのですか?」

「彩智は、自分の身を守ることだけを考えてくれ。……頼む。あんな思いは、もう二度としたくない」

 お兄様が、わたしに向かって深々と頭を下げた。