学園最強の兄は妹を溺愛する

 そうこうしているうちに、障害物リレーやダルマ運びリレーはあっという間に終わり、残すところ最後の4×200mリレーのみとなった。


 お兄様も蒼真さんも、アンカーを走ると聞いたのだけれど……。


「ゆーう!!!! 絶対抜かさなきゃ許さないんだからねーーーーっ!!!!」


 わたしたちのクラス、一年A組アンカーの金沢さんが、D組と熾烈なトップ争いを繰り広げている。
 
 莉乃さんは、レースに夢中。

 今のうちに……。


 そっと応援席を抜け出すと、わたしは裏門に向かって駆け出した。


 お兄様と蒼真さんの姿が、出場選手の待機場所に見当たらなかったの。

 一年生のレースが終わったら、すぐに二年生のレースがはじまるというのに。


 ——きっとなにかあったんだ。


 胸騒ぎが収まらず、手が小刻みに震える。


 もしもお兄様と蒼真さんになにかあったら……。

 お願い、無茶はしないで……!


 ぎゅっと拳を握り締め、裏門目指して校舎の角を曲がろうとしたとき——。


「キャッ!」

「……っぶな。大丈夫か、彩智?」


 突然角から姿を現したお兄様とぶつかり、転びそうになる。

 そんなわたしをお兄様が間一髪支えてくださり、わたしは難を逃れた。