学園最強の兄は妹を溺愛する

 ……お兄様は、いつだってそう。

『彩智はなにも心配しなくていい』と言うばかりで、なにも教えてくれない。


 それは、お兄様の優しさだって、ずっと思ってた。

 けど……。


「お兄様。わたし、そんなに頼りないですか?」

 お兄様の瞳をじっと見つめてそう言うと、お兄様はすっと目を伏せ、小さくため息を吐いた。


「怪しい人影を見たっていう目撃情報があってね。その確認に来ただけ。こんなヤンキー校に悪さをしにくるようなヤツは、そうそういないだろうからね。だから安心して、彩智」


 怪しい人影?

 本当に危なくないのですか?


「ほら、大丈夫だって、さっちー」

 莉乃さんが、わたしの肩をポンポンと叩いて安心させるように言う。


「それに、なにかあったって、陽介先輩も蒼真先輩も、誰にも負けたりしないから。ねっ。戻ってランチしよ」

「はい……お兄様たちも、お気をつけて」

「うん、ありがとう。俺たちも、すぐ食事をしに戻るから」

「わかりました」


 お兄様の言葉通り、わたしたちがキッチンカーで賑わう場所に戻ってしばらくすると、お兄様たちも戻ってきた。


 なにもなかったということですよね?

 心配しなくても大丈夫ということですよね?