学園最強の兄は妹を溺愛する

「待って、さっちー」

 そんなわたしの腕を、莉乃さんがぐいっと掴む。


「あたし、陽介先輩にさっちーと一緒にいるようにって頼まれてるから」

「ですが……」

「……わかった。なら、あたしも行く」

「莉乃さん。よろしいのですか?」

「よろしい、よろしい。——ねえ悠、あたしとさっちーの分のクレープとサンドイッチ、代わりに買っといて! もし食べられなかったら、一生恨むから!」


 隣のカレーライスのキッチンカーに並んでいた金沢さんが、一瞬なにか言いたげに口を開きかけ、そのまま閉じると、イヤそうな顔をしながらも、片手を軽く挙げた。



「アイツら……」

「…………この前のヤツらか?」

「だな。…………」

「やはり…………じゃないか?」

「……いや……警察は…………事を荒立てたくない。……都合で申し訳…………」

 お兄様と蒼真さんの話し声が、途切れ途切れに聞こえてくる。


「お兄様!」

「——彩智。なぜここへ来た?」

 裏門の方に向かって歩いていくお兄様たちに追いつくと、お兄様と蒼真さんは、わたしたちにいつになく厳しい目を向けた。


「す、すみません。お兄様たちのことが、どうしても気になって……」

「彩智が心配するようなことはなにもないよ。戻ってお昼ごはんを食べておいで」

 お兄様が、わたしに向かってニコリと笑って見せる。