学園最強の兄は妹を溺愛する

 競技の終わった蒼真さんは、お兄様のいる運営本部のテントに向かって歩いていた。

 そんな蒼真さんへと、お兄様がテントを離れ近づいていく。


 なにか問題でもあったのかしら?

 お兄様が、なんだか険しい表情をしているみたい。


 運営本部の隣に建てられた来賓用テントの方を見ると、後方にお父様が座っていて、お兄様方をじっと見つめていた。


 お兄様、大丈夫かしら……。



 その後、特に大きな問題が起きた様子もなく、一時間のお昼休憩となった。


 昼食には、お祭りらしくお兄様が数種類のキッチンカーを中庭にご用意してくださり、お昼休憩の時刻が近づいてくると、カレーライス、ハンバーガー、ステーキ丼やから揚げなど、食欲をそそるいい香りがグラウンドの方まで漂ってきて、みなさん昼食が待ちきれない様子だった。


「うわぁ、見てください、莉乃さん。クレープ屋さんもありますよ! サンドイッチもとってもおいしそう。どれにしようか迷ってしまいますね」

「いろいろ買って、分けっこしよっか」

「いいですね。そうしましょう」


 キッチンカー前にできた列に並んでいると、お兄様と蒼真さんが、わたしに気付くことなく通りすぎていった。


「……すみません、莉乃さん。わたし、ちょっとお兄様たちのところへ行ってきます」

 通りすぎざまにチラッと見えたお兄様たちの固い表情が気になって、わたしは莉乃さんにそう断ると、お兄様たちを追って歩き出そうとした。