学園最強の兄は妹を溺愛する

「はえ!? な、なんでしょうか?」

「この体育祭の間、彩智のこと、頼んでいいか? 本部の仕事が忙しくて、俺はあんま一緒にいてやれないから、彩智と一緒にいてやってほしいんだよね」

「そのくらい、お安い御用です。お任せください!」

 莉乃さんが、お兄様に向かってビシッと敬礼して見せる。


「うん。じゃあ、頼んだよ」

 そう言うと、ひらっと手を振って、お兄様はそのまま体育祭運営本部のテントへと戻っていった。


「……ねえ、さっちー。今の聞いた? 陽介先輩、あたしの名前、はじめて呼んでくれたんだけど。ウソ、信じらんない……」


 そういえばお兄様、今まで莉乃さんのことは「あんた」とか、あまり好意的な呼び方をしていなかったかもしれない。

 でも、応援団の練習を一緒にやってきた仲間として、お兄様も莉乃さんのことを認めてくれたっていうこと?


「あ、でも勘違いしないで。あたし、もう陽介先輩のことは狙ってないから。なんていうか、憧れの存在っていうのは、遠く離れて見てるくらいがちょうどいいんだって気づいたの」


 ふふっ。本当は、それだけではないですよね、莉乃さん。


「ち、ちょっと、さっちー。なんでそこでニヤニヤすんのよ」

「わたし、お二人の幸せを、心からお祈りしてますから」

「ま、まあ、アイツとは腐れ縁みたいなもんだし? 今さら別にどうってことないけど……。っていうか、そういうさっちーはどうなのよ。さっき、蒼真先輩を見る目がハートになってたけど?」

「へっ⁉」