***
「ぜってー負けんじゃねーぞ!」
「死んでも抜かれんな!」
みなさん、ケンカがお強いだけに、運動神経もいい方ばかりで、最初は「だりぃ」とか「クソつまんねー」などと言っていたはずなのに、競技が進むにつれ、応援はどんどん白熱していった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
午前中最後の種目は1500m走。
走り切った選手たちが、バタバタと地面に倒れ込んでいる。
けど、そんな中淡々と走り切り、淡々とクールダウンする選手が一人。
「ねえねえ、さっちー。蒼真先輩ってば、めちゃくちゃすごくない!?」
興奮した莉乃さんが、わたしの腕をぐいぐい引っ張る。
「はい……。すごいですねえ、蒼真さん」
胸の前で両手を組み合わせ、コクコクと何度も首を縦に振る。
さっと汗を拭う姿までカッコ良すぎて、なぜだか涙が出そう。
「ねえ、ひょっとして、さっちー——」
「アイツ、中学んとき、陸上部で長距離やってたらしいからなー」
莉乃さんの言葉を途中で遮るようにして、のんびりとした声が背後でする。
「お兄様!」
「よっ、彩智。楽しんでる?」
「はいっ。とっても」
「うん、ならよかった。……そうだ、莉乃」
「ぜってー負けんじゃねーぞ!」
「死んでも抜かれんな!」
みなさん、ケンカがお強いだけに、運動神経もいい方ばかりで、最初は「だりぃ」とか「クソつまんねー」などと言っていたはずなのに、競技が進むにつれ、応援はどんどん白熱していった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
午前中最後の種目は1500m走。
走り切った選手たちが、バタバタと地面に倒れ込んでいる。
けど、そんな中淡々と走り切り、淡々とクールダウンする選手が一人。
「ねえねえ、さっちー。蒼真先輩ってば、めちゃくちゃすごくない!?」
興奮した莉乃さんが、わたしの腕をぐいぐい引っ張る。
「はい……。すごいですねえ、蒼真さん」
胸の前で両手を組み合わせ、コクコクと何度も首を縦に振る。
さっと汗を拭う姿までカッコ良すぎて、なぜだか涙が出そう。
「ねえ、ひょっとして、さっちー——」
「アイツ、中学んとき、陸上部で長距離やってたらしいからなー」
莉乃さんの言葉を途中で遮るようにして、のんびりとした声が背後でする。
「お兄様!」
「よっ、彩智。楽しんでる?」
「はいっ。とっても」
「うん、ならよかった。……そうだ、莉乃」



