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そんなこんなで、あっという間に五月末の体育祭当日の朝がやってきた。
朝食をとるためダイニングルームへ行くと、お兄様がなんだか難しい顔をして座っていた。
「おはようございます。どうしたのですか、お兄様?」
「ああ、うん。……体育祭の視察に来ると、さっき父さんに言われてね」
「えっ、そうなのですか?」
今まで授業参観も運動会も、一度もいらしてくれたことはなかったのに。
ひょっとしてお兄様が難しい顔をされているのは……お父様は、お兄様の評価にいらっしゃる、ということ?
そうですよね。流星学園をいかに治めるかが、お兄様の跡取りとしての最終試験なんだから。
わたしまで、思わず顔がこわばってしまう。
「大丈夫。彩智はなにも心配しなくていい。せっかくの体育祭なんだから、今日は楽しもう。な!」
お兄さまが、わたしを安心させるように、頭をぽんぽんとなでてくれる。
そうですよね。せっかくの体育祭なんですもの。
それに、みなさんの笑顔が、イコールお兄様の高評価にもつながるはず。
「はい、お兄様。今日は、おもいっきり楽しみましょう!」
そんなこんなで、あっという間に五月末の体育祭当日の朝がやってきた。
朝食をとるためダイニングルームへ行くと、お兄様がなんだか難しい顔をして座っていた。
「おはようございます。どうしたのですか、お兄様?」
「ああ、うん。……体育祭の視察に来ると、さっき父さんに言われてね」
「えっ、そうなのですか?」
今まで授業参観も運動会も、一度もいらしてくれたことはなかったのに。
ひょっとしてお兄様が難しい顔をされているのは……お父様は、お兄様の評価にいらっしゃる、ということ?
そうですよね。流星学園をいかに治めるかが、お兄様の跡取りとしての最終試験なんだから。
わたしまで、思わず顔がこわばってしまう。
「大丈夫。彩智はなにも心配しなくていい。せっかくの体育祭なんだから、今日は楽しもう。な!」
お兄さまが、わたしを安心させるように、頭をぽんぽんとなでてくれる。
そうですよね。せっかくの体育祭なんですもの。
それに、みなさんの笑顔が、イコールお兄様の高評価にもつながるはず。
「はい、お兄様。今日は、おもいっきり楽しみましょう!」



