学園最強の兄は妹を溺愛する

「おー、がんばれよー。当日楽しみにしてっからな」
「そーだぞ。やるんなら、しっかりやれよー」


 わたしと同じように下校途中に覗き見していた他の男子がヤジを飛ばす。


「うっせー。見せもんじゃねえぞ。こっち来んな!」
「そんなこと言うなら、おまえらもやれや!」

「はっ、やなこった」

 そして、ゲラゲラ笑いながら去っていく。


 なんとか応援団の人数は揃ったみたいだけど、あまりうまくいっていなさそう。


「おまえら、ちゃんと動画見て予習はしてきたよな?」

「……うす」

 あからさまにやる気のない返事に、お兄様が困ったように胸の前で腕を組んでいる。


「お兄様!」

 いてもたってもいられなくなり、わたしはお兄様に駆け寄った。


「ああ、彩智。どうした?」

 お兄様に尋ねられ、きゅっと両手を胸の前で握り締める。


「あのっ……わたしも応援団に参加してもよろしいでしょうか?」

「は? 彩智、なに言って……」

「最初に応援団を楽しみにしてるって言ったのはわたしですし、それに、わたしもお兄様方と一緒に、思い出を作りたいんですっ」

「彩智。応援団をやるということは、体育祭当日、グラウンドの真ん中で、全校生徒……いや、もっとたくさんの視線を集めることになるんだぞ?」

「もちろんわかっています」

 キッパリと言うわたしに、お兄様が再び困ったような表情を浮かべる。

「いや、彩智がよくてもなあ……」


「え……ミニスカチアガール?」

「それ、めちゃいい」

「やる気出そ……ひぃっ」

 お兄様にギンッと睨まれ、三人が小さく悲鳴を上げる。