わたしが最後まで言う前に、お兄様が笑顔でそう宣言すると、蒼真さんは暗い顔で、はぁーーーーと大きなため息を吐いた。


「……本当ですか、お兄様?」


 蒼真さんは、なんだかとてもイヤそうにされているようですが……。


「ああ。兄ちゃんたちの活躍、楽しみにしててくれよな!」

「はいっ。お兄様と蒼真さんの応援団姿、楽しみにしてますね!」

「⁉ ……お、おう。体育祭の花形といえば、応援団だもんな。兄ちゃんたちに任せとけ。な、蒼真!」

「……帰る」

 うんざりしたような声音でそう言うと、ふいっと顔をそむけ、蒼真さんは校門に向かって歩き出した。


「さ、さようなら、蒼真さん!」


 蒼真さんは無言で片手を軽く挙げると、そのまま門を出ていってしまった。


 わたしが余計なことを言ってしまったせいで、蒼真さんを怒らせてしまったかもしれない……。


 顔をうつむかせていると、ぽんぽんとお兄様が優しくわたしの頭をなでてくれた。


「アイツ、別に怒ってるわけじゃないから、大丈夫。通常運転だよ、あれでも」