俺って、いったいなんなんだろうな。

 俺が一番知りたいよ。


 っていうかアイツ、あのヤンキー校に行くつもりかよ。

 女子がほとんどいないって、そんなの、猛獣の檻に飛び込むようなもんだろ。なに考えてんだよ。


 しかも、俺の顔がコンプレックスだって?

 俺が一番自分の顔をコンプレックスに思ってるよ。


 けど、俺がもしそこでトップになったら、莉乃のヤツ……って、なに考えてんだ、俺。

 さすがに単純すぎだろ。


 思わず「ははっ」と自虐的な笑みが漏れる。



 そんなずっとコンプレックスだらけだった俺に「カッコいい」だと、あの兄妹は。

 ほんと、変わってる。

 けど、他のヤツに「キレイな顔」って言われたときみたいな、クソみたいにドロドロした感情は起こらなかった。

 なんていうか……くすぐったかった。

 はじめて自分の存在を肯定されたような気がしたのかもしれない。


 そんなハズイこと、死んでも言わないけど。


 それでも、学園のトップにならなくちゃと焦る必要はないのだと、あの二人が教えてくれた。

 なら俺は……あー、考えただけで面倒くせー。


 けど、アイツになにも言わずにただ離れて見守ることなんて、もうできそうにないわ。