「なんていうかさー、目の保養的な? 飾っておきたい、みたいな。だから、一番じゃないんだよねー、金沢みたいなタイプって」

 教室に入る直前、突然俺の名前が教室の中から聞こえてきて、俺は思わず扉の前で足を止めた。

「わかる~! 一番はやっぱあのサッカー部の田名部先輩みたいな爽やかスポーツマンタイプかなあ」

「違うって。一番は優しい人だよ。ほらっ、隣のクラスの吹部の大和くん」

「わたし、意外とうちの室長とかタイプかも」

「えーっ、あのメガネ?」

「水泳の授業のとき、メガネ取ったとこ見たんだけどさ、あれはヤバいって。実はガチイケメン」

「マジで?」

「コンタクトにしてほしいとこだけど……いやでもあのギャップがやっぱいいわ~」

「いわゆる『ギャップ萌え』ってヤツ?」

「そうそう! ねえ、莉乃は? どんな人がタイプ」


 みんなが話に花を咲かせる中、一人熱心にスマホを見つめていた俺の幼馴染の三浦莉乃が顔を上げる。


「あたし? あたしはやっぱ強い人かな~。ねねっ、これ見て!」

 そう言いながら、莉乃がスマホの画面をみんなの方へと向ける。