わたしもお兄様の傍らにしゃがむと、お兄様は包みの中からキレイな形を保ったクッキーを一枚取り出し、わたしにそっと差しだした。
「ありがとう、お兄様。……うん、やっぱりおいしい、このクッキー。今日はね、わたし、型抜きのお手伝いをしたの。本当は……みんな、とってもキレイにできたのよ」
じわっとにじむ涙が零れ落ちないようにぐっと堪え、お兄様に向かってほほえんで見せる。
「……ごめんね、彩智。こんなにボロボロにしちゃって」
お兄様が、申し訳なさそうに眉尻をしゅんと下げる。
「ううん。いいの! だって、ほら。小さい方が、お口に入れやすいでしょ?」
お兄様が持っている包みに手を伸ばすと、クッキーの欠片をひとつつまみ、パクリと口の中へと放り込む。
「それに、味は大きくても小さくても変わらないもの」
「そうだね。彩智の作ったクッキーは、世界一おいしいよ」
ふわりと笑うと、お兄様は小さな欠片ひとつ残さずキレイにクッキーを食べ切った。
「ごちそうさま、彩智」
お兄様は優しくわたしの頭をなでると、スッと立ち上がり、お部屋へと戻っていった。
そんなお兄様の凛とした背中を見るだけで、いつもなんだかうれしくなる。
お母様がいなくなってから、ずっと暗闇の中にいるみたいだったけれど、新しい家族ができて——お兄様がこのお屋敷に来てくれて、なんだかその暗闇に光が差し込んだように感じたの。
「ありがとう、お兄様。……うん、やっぱりおいしい、このクッキー。今日はね、わたし、型抜きのお手伝いをしたの。本当は……みんな、とってもキレイにできたのよ」
じわっとにじむ涙が零れ落ちないようにぐっと堪え、お兄様に向かってほほえんで見せる。
「……ごめんね、彩智。こんなにボロボロにしちゃって」
お兄様が、申し訳なさそうに眉尻をしゅんと下げる。
「ううん。いいの! だって、ほら。小さい方が、お口に入れやすいでしょ?」
お兄様が持っている包みに手を伸ばすと、クッキーの欠片をひとつつまみ、パクリと口の中へと放り込む。
「それに、味は大きくても小さくても変わらないもの」
「そうだね。彩智の作ったクッキーは、世界一おいしいよ」
ふわりと笑うと、お兄様は小さな欠片ひとつ残さずキレイにクッキーを食べ切った。
「ごちそうさま、彩智」
お兄様は優しくわたしの頭をなでると、スッと立ち上がり、お部屋へと戻っていった。
そんなお兄様の凛とした背中を見るだけで、いつもなんだかうれしくなる。
お母様がいなくなってから、ずっと暗闇の中にいるみたいだったけれど、新しい家族ができて——お兄様がこのお屋敷に来てくれて、なんだかその暗闇に光が差し込んだように感じたの。



