学園最強の兄は妹を溺愛する

「す、すみません……!」


 しばらくして風がやみ、うしろを振り返ると、二人組の男性が立っていた。

 一人は長めの明るい茶色の髪にオーバーサイズのTシャツにダボっとしたカーキのパンツ、もう一人は短めの黒髪にパーカーとデニムパンツというスタイル。

 歳は、わたしと同じ高校生くらいに見える。


「え、めちゃカワイイじゃん。ねえ君、誰かと待ち合わせ?」

「オレら、ヤロウ二人だけなんだよねー。こいつがチケットもらったっていうから、しょうがなく付き合ってやってんだけどさ。女の子一緒の方が楽しめそうだし。ねえ、オレらと一緒に行かね?」

「いえ、わたしは、お友だちと待ち合わせをしてまして……」

「ちょうどいいじゃん。なら、そのお友だちも一緒にさあ——」

 茶髪の男性が、ニヤニヤしながらわたしに向かって手を伸ばしてくる。


 怖い……っ!


 ぎゅっと目を閉じると——。


「いててててて……!」


 男性の悲鳴が聞こえ、おそるおそる目を開けると、黒の襟付きシャツに、黒の細身のパンツという、全身黒ずくめの男性の背中が目の前にあった。


「待たせてすまなかった、彩智」