「それにしちゃあ、楽しそうに長話をしているみたいだなあ」
ふらり、とお兄様が足を一歩前に出す。
「していない。誤解だ」
「俺のカワイイカワイイ妹に手ぇ出したらどうなるかわかってるよなあ、蒼真?」
ふらりと足をもう一歩前に出しながらゆっくりと上げたお兄様の顔には、不気味な笑みが浮かんでいた。
怒りに我を忘れ、お兄様は今にも蒼真さんに襲い掛かりそう。
どどどどうしよう……。
「……蒼真さん、とりあえず逃げましょう!」
食べかけのお弁当箱を慌ててお弁当袋の中に戻すと、わたしは無我夢中で蒼真さんの手首を掴み、見るも無残にひしゃげた扉に向かって駆け出した。
「おい、ちょっ……」
蒼真さんの戸惑うような声が聞こえてきたけれど、そんなことで止まるわけにはいかない。
だって、このままじゃ蒼真さんが……。
それに、お兄様に、お友だちを傷つけさせるわけにはいかないもの。
そんなことをしてしまったら、蒼真さんがなにも悪くないってわかったときに、お兄様がきっと深く傷ついてしまうに違いないから。
「……さ……ち?」
お兄様の傍らを走り抜けたときに、呆然としたお兄様の声が、かすかに聞こえたような気がした。
ふらり、とお兄様が足を一歩前に出す。
「していない。誤解だ」
「俺のカワイイカワイイ妹に手ぇ出したらどうなるかわかってるよなあ、蒼真?」
ふらりと足をもう一歩前に出しながらゆっくりと上げたお兄様の顔には、不気味な笑みが浮かんでいた。
怒りに我を忘れ、お兄様は今にも蒼真さんに襲い掛かりそう。
どどどどうしよう……。
「……蒼真さん、とりあえず逃げましょう!」
食べかけのお弁当箱を慌ててお弁当袋の中に戻すと、わたしは無我夢中で蒼真さんの手首を掴み、見るも無残にひしゃげた扉に向かって駆け出した。
「おい、ちょっ……」
蒼真さんの戸惑うような声が聞こえてきたけれど、そんなことで止まるわけにはいかない。
だって、このままじゃ蒼真さんが……。
それに、お兄様に、お友だちを傷つけさせるわけにはいかないもの。
そんなことをしてしまったら、蒼真さんがなにも悪くないってわかったときに、お兄様がきっと深く傷ついてしまうに違いないから。
「……さ……ち?」
お兄様の傍らを走り抜けたときに、呆然としたお兄様の声が、かすかに聞こえたような気がした。



